坂本の家~一期改修工事(納屋)~ anet_admin
- コンセプト
- この住宅は、比叡山と琵琶湖に挟まれた東麓にある。
この地域は、伝教大師最澄が8世紀に開いた天台宗の総本山・延暦寺の門前町として古くより栄えていた。周辺に50余り点在する里坊の穴太衆積みの苔むした石垣は、大変美しく、軒を並べる町屋の土壁や土蔵と歴史を共にしてきた。
この住宅も、130年前に建てられた当時のままの外観が保たれており、美しい街並みを形成している。桜や紅葉、緑など、身近に四季の移ろいを感じながら穏やかに暮らせるが、冬場は比叡山と琵琶湖の両方から風が吹き、寒さが厳しい地域である。
建主は、このような住宅の持っている時間の価値を理解し、リノベーションをして、歴史的な環境や美しい風景と共に、家族が互いの距離を保ちながら、住み継ぐことを選ばれた。代々、庄屋を継いでこられた当家が、年貢米を一時保管するのに使用していた離れの納屋を、母屋で独り暮らしをしている母親の住まいとしてコンバージョンすること、続いて、母屋を息子夫婦の住まいへリノベーションすることが計画された。
築130年の納屋は外観が大壁構造の切妻屋根で、軒高が4.5mと高く、作業用の軒の深い土庇がついたプロポーションの良い建物であった。
まず、構造設計家と綿密に打ち合わせを行い、既存の建物の良さを損なわないように、出来るだけ補強したことが分からないように耐震補強を行った。また、壁・床の断熱や天井シーリング、木製建具やペアガラス、床暖房の採用、一室空間の和室へ天井の低い寝室を入れ子状に設置するなどして、冬の寒さに対応した。
建物に刻みこまれた歴史が醸し出す風合いを大切に、耐震性・断熱性を高め、つくり過ぎないように自然なかたちで再生し、歴史的な環境と共に、住継いでいけるサスティナブルな住まいになるように心掛けた。
(撮影:絹巻豊) - 構造
- 木造平屋建て