御領の家 anet_admin
- コンセプト
- 敷地は大阪東部に位置し、東に生駒の峰を望む古い集落の一角にある。
かつては田畑が一面に広がった水郷地帯であったが、ここにも都市化の波が押し寄せている。縦横に走っていた水路が道路に、田畑が宅地や工業地に変わり、のどかで美しい水郷集落の風景が失われつつある。敷地は幸運にも埋立てられずに残った水路に面していて、木の橋が架かり、段倉や農作物の運搬に利用した田船が浮かび、昔の面影を残している。この地域の美しい貴重な歴史的財産を守り、継承していくことが大きなテーマとなった。
敷地は120年近く前に建てられた、母屋と長屋門・蔵・納戸が残っていたが、老朽化したことと現代の生活に使いづらいこともあり建て替えることになった。計画は周辺の景観を考慮して長屋門・蔵はそのままに残し、改修して再生することにした。
建物は外観を蔵のデザインに合わせ、1階をRC造による外断熱工法の焼スギ板張り、2階を伝統工法による漆喰塗りにして全体の構成を統一した。建主の要望としては、モダンな家は好きだが周辺の環境などを考えて和風の家に、将来は二世帯住宅に、法事・客室などに使う続き間の和室、などが挙げられた。
建物の配置は敷地周辺に目板瓦で葺いた焼スギ板の塀を巡らし、塀と建物の間に、東庭・西庭・中庭を配して、内部からの狭さを感じさせないようにした。1階は南庭に面して続き間の和室、東庭側に母親の部屋・洗面・浴室などを、西庭側に建主の部屋とし、それぞれの部屋からの眺めと採光・通風を確保した。
2階は居間・茶の間・食堂を南庭に向け、屋根裏を現した大きなゆったりとした一室空間にした。南庭の木々や周辺の美しい景色を借景にして、これまでの住まいでは体験できなかった緑や光や風などを、肌で感じられる居心地のよい空間になることを意図した。
高齢になる母親はこの家に生まれ育ち、現在も元気に生活されており、旧家の大黒柱や梁や欄間などの古材の一部を使用し、長年住み続けた記憶の再生を試みている。時間の経過と共に周辺環境に溶け込み、より美しい水郷環境になることを願う。
(撮影:絹巻豊) - 敷地面積
- 355.64㎡
- 延床面積
- 310.28㎡
- 用途
- 専用住宅
- 構造
- 1階RC造 / 2階木造
- 家族構成
- 母・夫婦・息子