松ヶ崎の家 鈴木 道子
- コンセプト
- 京都北山通りから一筋北へ入った東山麓に位置する落着いた住宅地の一画の角地に建つ。周辺は新旧の家が混在し敷地北側、旧街道沿いも昔の面影が徐々に薄れつつあるのは否めない。こうした周辺の状況を憂え、施主はできるだけ旧街道の雰囲気を残した外観、母娘2人のための居心地良く、安心して暮らせる住まいを求めた。
外観は道路側を落着いた色合の板壁と竪格子を主体に構成。大きな開口部がある南面バルコニーは防犯上不安だと言われた母親のためにスティールとステンレスの横格子で覆い、できるだけ軽く皮膜状に見えるよう工夫した。隣地側となる北、西の外壁は、左官職人のアイデアにより、粉砕古瓦入りのモルタルで掻き落し仕上げとし、周辺環境に配慮した優しい質感の仕上りになった。
内部の居住空間は、自然素材で構成。柱や梁、家具、建具とも木部は床以外全て炭を調合した柿渋を塗っている。三回塗り重ね、より深みのある色合になった。時間が経つにつれて、色が変化し、より室内に馴染んでいくのではと思う。
平面計画は東西方向の壁で大きく2:1に分け、個の生活圏と共用(水廻り)とを分けた。断面計画では法規的な制約及び周辺の街並みへの配慮から、出来るだけ高さを感じさせぬよう半階分地下に沈め、最下階を将来用のギャラリー(施主要望)とし、その上に二層分(2人)の生活空間を積んだ。そして、中間階に共用の水廻りを配置し、各々の生活圏を守りつつ互いに気遣える距離間を置いた。入れ子のように生活空間の機能を断面的にずらして差込み、それらの間隙から光や風が各室に抜けるように構成している。
施主は最上階のロフト屋上から見える「妙・法」と2階の母親の部屋から見える「大」の字の今夏の送り火を心待ちにされている。 - 敷地面積
- 107.36㎡(32.47坪)
- 延床面積
- 160.49㎡(48.54坪)
- 用途
- 一戸建ての住宅
- 構造
- 混構造(鉄筋コンクリート造+木造) 3階建て
- 家族構成
- 母+娘
- 所在地
- 京都市左京区松ヶ崎